大阪市内に住む30歳代の女性は、26歳のころに自殺を意識していたという。就職を機に親元を離れ1人暮らしを始めたが、会社から帰宅しても「お帰り」の声がない。そのとき、ふと寂しさを感じた。
「仕事でつらいときも親に迷惑をかけたくないので相談できなかった。本当のことを話せる相手がいなく、どんどん孤独感が深まりました」
何年もそうした状況を過ごすうち、女性は衝動的なリストカットを繰り返すようになった。
幸い、痕に気付いた友人の存在で立ち直ることができたという。ささいな愚痴にも寄り添い、話を聞いてくれる友人が、女性を孤独から救い上げた。
自殺者が3万人を超えたのは平成10(1998)年。
その前年まで2万4391人だったのが、3万2863人と急増した。
統計が始まった昭和53(1978)年以降、3万人を超えるのは初めてだった。以降、14年間自殺者数が3万人を切ることはない。
こうした状況のもと、「死にたい」という感情は、社会の中に広がっている。今年1月に内閣府が成人男女3千人を対象に行った意識調査で、4人に1人が「自殺したいと思ったことがある」と回答した。
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