老人性うつ病って?

うつ病は、若い人やサラリーマンだけがなるのではなく、高齢者もうつ病になります。むしろ高齢者の方が多く、認知症に次いで罹患者が多いと言われています。

 

歳をとると、定年を経験し、子供は結婚をして家を出ていく、配偶者に先立たれ、友人は体調を崩して倒れたという連絡も多く聞くようになるでしょう。
外出は減り、人と接することもなくなり、自宅で1人でポツンと過ごす時間が増える。
足腰が弱くなる、疲れやすい、病気や怪我でしばらく寝たきりになってしまう、などの体力の低下。
こういった経験のなかで、どんどんと老いていく自分を愛せなくなり喪失感が募っていきます。

 

こうした精神的変化や社会的変化によって世間からの孤立・孤独を感じて、老人性のうつ病を引き起こすきっかけになると言われています。

 

しかし、老人性うつになる原因は孤独感と喪失感だけとは限りません。
やはり老齢になると、神経伝達物質の減少によって脳の機能が活性化されないために、うつを引き起こしてしまう事のほうが原因としては強いようです。

 

老人性うつの症状は、不眠が続く、食欲がなくなる、憂鬱な気分が続く、やる気が起きない、物事を悪い方へと考えるようになる、趣味や好きだったこともやらなくなる、など一般的なうつ病の症状と変わりがありません。

 

気を付けないといけないのは、孤立感、喪失感があるために自信が持てなくなり、「何もしたくない」「何も分からない」という言動を繰り返すことから認知症ではないかと間違われることがあるそうです。
そのため、認知症の治療を続けていくうちに、症状は改善されずに老人性うつが悪化することがあります。

 

もしも、父親や母親の様子がおかしいと思ったら「もう歳だからね」とは思わずに、精神科や心療内科での受診をおすすめします。
老人性うつは、若い人のうつ病よりも薬で治る確率が高いそうですよ。

 

この病気にならないためには、家族や、地域住民との会話やコミュニケーション、趣味の集まりや色々な世代の人と係わって、脳の機能と心の健康を保つことが必要になります。