うつのメカニズム

鬱病は気分障害という精神疾患のひとつに分類されています。重い気分が長期間続き、不眠や気分の落ち込み、抑うつ症状、不眠、焦燥感、孤独感、自己疎外感、無力感などがあり、その症状がひどくなるとリストカットやオーバードーズなどの自傷行為や希死念慮、自殺企図などがあります。

親しい人の死や失恋、失業などの耐え難いストレスに伴う一時的な抑うつ状態だけでそのまま回復する場合は問題ありませんが、何らかのストレスがきっかけとなり鬱病へと進行していくことはあります。
身体症状として頭痛やめまい、動悸、腹痛、震え、耳鳴りなどのさまざまな症状があり、自律神経失調症と分類されることがありますが、このような症状が起こるには何らかの強いストレスがあり、これらのことを改善するには心理カウンセリングが有効です。




●鬱の特徴的なパターン
うつには特徴的なパターンがあります。無気力、孤独感、焦燥感、自己疎外感、無力感、自分に対して自罰的であったり自己批判的という思考パターンがあり、繊細で傷つきやすく、まじめで柔軟性に乏しい性格というのが顕著です。世の中のさまざまなことが虚しく、生きていることが無意味に思えたり、思うように行かないと考えています。自分のことが好きになれず自己評価が低い。対人関係があまり上手ではなく、他人からの評価が気になります。自分に自信がなく、ちょっとした失敗が気になっていつまでも繰り返し思い出してしまったり、そのことで誰かに迷惑をかけているのではないかと考えがちです。

仕事面に関しては完璧主義の傾向があり、できる限り完璧に近づくことを望み、それが叶わないと不全感に満ち自己批判的になります。だんだんと自信がなくなると、仕事に取りかかるのが億劫になってきます。この時の自動思考は「どうせやってもできないし」といった考え方です。「自分のことが嫌い」「自分が好きになれない」というのも鬱の方の特徴的なパターンです。




●鬱のメカニズムと構造分析
鬱になる人は鬱にならない人と何が違うのか、そのメカニズムを解析します。うつ状態では、なぜ自分がそうなっているのかわからず不可解に思うこともあるでしょう。しかし、鬱には明確な構造があります。「自分はダメだ」等の自分のことを批判的考えてしまう思考パターンがあるため、常に誰かに批判されているのと同じ状況です。このように自己価値を下げる自動思考や思考パターンがあります。そのため常にストレスに晒されている状態ですので元気になれないのです。24時間ずっと一緒にいる自分が自分自身を批判し続けるため、生きているだけで、ほとんどの時間はストレスのある状態なのです。ずっとストレスに晒されているわけですから毛細血管は収縮し、手や足の指先は冷え症になりやすく、肩こりにもなります。
例えばいつも一緒にいる人が、あなたに文句ばっかり言っていたり、あなたをバカにする言葉ばかり言っていたら、あなたは嫌になるでしょう。苦しくなるし逃げ出したくもなると思います。それが鬱のメカニズムなのです。




●うつ病の原因と克服
鬱は謎の病気ではありません。鬱になるには必ず理由があります。そして大抵は何らかの有益ではない(自分が落ち込む)自動思考があります。その自動思考は、自分の信念(ビリーフ)に影響を受けていますので、この信念(ビリーフ)を書き換えることが恒久的に鬱を改善する方法です。「自分は必要とされていない」「自分は生きているだけで邪魔な存在だ」「自分は何もできない」等のビリーフを書き換えることです。
自分が信じていることを自分が懐疑的に考えることをクリティカル・シンキングと言いますが、自分が信じていることを自分が疑うのは非常に困難です。なので第三者である心理カウンセラーと話すことで、自分の自動思考や自動認知を捕まえ、自己批判的な考えや鬱が改善するために有益ではない認知や思考パターンであれば、その認知や思考パターンを変化させます。
このパターン変化のために認知療法や論理行動情動療法、SFAのパターン介入はとても有効になります。
・直前思考
気分が落ち込む直前やリストカットの直前、何を考えていたのか。眠れない時に何を考えていたのか、わけもなく涙がこぼれる直前、何を考えていたのかを知ることが自動思考を捉えるために重要になります。自分が自動的に考えている思考を、意識的に認知して、それが有益でなければ認知を変化させます。
・嫌な記憶を消す
イヤなのについつい自動的に思い出してしまう過去のネガティヴな記憶なども自分が元気になることを阻害しますので、イヤな思い出したくない記憶は消していきます。NLPアプローチの簡単なワークで短時間で消すことができます。
自分を客観視(メタ認知)することで正しい働きかけを知り、それを実行することです。自分が自分自身の味方になると、自分が大好きになり、自己を受容できるようになります。
鬱はほったらかしにせず、積極的に改善に取り組みましょう。自分を虐めているだけであれば苦行と同じです。苦行には意味がありませんので即刻やめるべきなのです。