人は人、自分は自分

「人は人、自分は自分」ということばがあります。
 要するに承認欲求を捨てよということなのですが、人間、そんなに簡単に承認欲求を捨てられるわけではありません。誰でも褒められればうれしいし、けなされたくはないものです。ある意味、脊髄反射の一部で、承認欲求を失ったらその瞬間に成長は止まると思っていました。成長は今の自分に不満がなければいけないもの。モチベーションの原動力は承認欲求でもあります。承認欲求を失ったら他人に関心がなくなり、人間性まで失ってしまうのではないか。そんなことさえ思いました。

 でもこれも自分の中でさんざん考え、ある言い換えで納得できるようになりました。要するに「コントロールできないものにコミットしてはいけない」ということです。自分の気持ちはコントロールできますが、他人の気持ちはコントロールできません。だとするとコントロールできない他人のさじ加減にやきもきするというのも、なんだか関心の方向が違う気がします。要は相手の決めることを、自分が決める義務も権利もないということです。答えのない問題を悩んでも仕方ないということです。これは真理です。

 人間できることしかできません。できないことはできません。今できることをやるしかありません。そして精いっぱい努力した結果、そこから先、その内容を他人がどう思おうが、どう評価しようが、関係ありません。他人の意思決定にコミットはできないのですから、それは当然です。

 このことは、承認欲求を失ったのでも成長に不感症になったのでもありません。承認欲求は自分の中に持つべきです。つまり自分自身の評価軸です。今日の自分が昨日の自分とどう違ったのかという、そこだけを問うていくべきだと思います。

 単純だし地味ですが、なんだかそれがその地味さがストレスマネジメントなのかもしれません。