ある患者さんの経験

最初の症状

仕事を、休みなく毎日していた頃です。ストレスを感じながらも、充実さを感じていたので、休むことを忘れていました。3つの仕事を掛持ちして、気付いたら2ヶ月休みなく働いていました。そして完全な鬱状態になる1ヶ月前くらいから吐き気がするようになっていました。

その頃から、気持ちの浮き沈みを自分でも感じ、特に気持ちが極端に沈む時がありました。その頃から周りに「痩せた」と言われるようになりました。体重が、気付けば4キロ減っていました。

きっかけは思いも寄らぬ人のきつい言葉

そして、知らず知らずのうちに身体が弱っている時、身近な人にきつい言葉を言われたことがありました。仕事の内容を詳しく知らないのに、仕事について否定され、いつもの穏やかさが一瞬にして消え、いわゆる逆ギレをされました。

これをきっかけに、気持ちのコントロールができなくなりました。誇りを持ってやっていたことに対しての批判、相手の人が変わってしまったことへのショックに耐えられなかったのです。大きな衝撃でした。

食欲はなくなり、食べても吐いてしまいました。夜は眠れなくなり、考えることを止めることができなくなり、そのうち身体が岩のように硬直してしまうような錯覚に陥り、眠れなくなりました

いつもの自分なら全く気にしないようなことで、落ち込んでしまっている状態にも情けなさを感じ、歩いて外に出ることさえ困難な状態になりました。

それでも、仕事は替わりの人間がいるような職業ではなかったので、無理に出ていました。今思えば、仕事が休めるものであったら、逆に家から出れなく なっていたかもしれません。生き甲斐である仕事が少しでも支えになっていました。それでも限界を感じて、衝撃を受けた時から2週間ほどで病院に行きまし た。

医師の診断とその後の症状

1件目の心療内科

とにかく食欲がない状態と、不安な状態をなんとかしたく、心療内科に駆け込みました。

  • 自分を責めるような気持ちになるか
  • 夜眠れるか

など、6つくらいの項目で状態を診断しました。睡眠薬と抗うつ剤を出され、3ヶ月くらいで必ずよくなると言われました。

夜は薬で眠れるようになりましたが、不安な気持ちなどは消えませんでした。
夜はとにかく涙が止まらず、昼間歩いていても涙がでてきてしまうこともありました。

死にたいとは思わないのに、何か今の状況を消し去りたい気持ちでいっぱいになり、最終的には自分の足に痣ができるほど殴る行為をしていました。

2件目の心療内科

不安でたまらなくなり、昔からお世話になっている内科の先生に紹介してもらい、違う心療内科に行ってみました。そこでは、きっかけとなったことについてなど、自分本来の性格のことまでじっくり時間をかけて話をさせてもらいました

やっと少し救われた気分になりました。それからは、日々のことを話しに行くつもりで通っています。それから、心配をかけたくないと避けていた親に相談したり、周りにも上手く助けを求められるようになり、徐々に本来の自分を思いだすことができました。

薬は抗うつ剤と睡眠薬、精神安定剤など、その時々で相談しながら出してもらいました。薬の特徴などを教えてもらいつつ、身体の負担にならないようにしてもらいました。

それまでに4ヶ月くらいかかりましたが、やはり気持ちが急におかしくなったりします。しかし、前ほどの辛さはなくなり、生きている心地がしてきました。

読者の方へアドバイス

鬱は誰でもなる

鬱は、普段の自分とは違う自分になってしまいます。楽観的であってもどんなに強くても器用でも、誰でもなります

  • 体重の急激な変化
  • 吐き気、食欲の変化
  • 気持ちの極端な浮き沈み

これを感じたら、1度身体を休めてみてください。ストレス解消になる気分転換をしてください。身体と気持ちのバランスが崩れた時に、思いも寄らぬタイミングで鬱状態になってしまいます。

乗り越えれば強くなる

また、鬱状態になってしまったら

  • 人よりも頑張ってしまう
  • 深く物事をじっくり考えるところがある

そんなところがあったかもしれません。でもそれは良いことです。

休みを多くとり、ゆっくり本を読んでみたりしてください。そして、自分のペースで周りの人に相談してみてください。きっと助けてくれる人がいます。甘えてしまっていいのです。鬱を乗り越えれば、必ず前よりも強い自分になれます