高齢者のうつは、認知症と間違われやすい?

高齢者のうつ病とは?

うつ病とは、気分が塞ぎ込む、興味や喜びを感じない、食欲がわかない、よく眠れない、体がだるい、ものごとに集中できないなどといった症状が2週間以上にわたって、ほとんど毎日続く状態をあらわす病気です。
私たちは年を重ねることにより、身体的・精神的な衰えが増すのに加えて、子供の独立や、近親者との死別等、孤独感を感じることが多く、うつ病を発病する可能性が高まるのです。
日本においても、高齢社会の進展とともに、うつ病を患う高齢者が増加しています。
「なんとなく今までと違うな・・・」そんな小さな変化にご自身で気づいたり、また、一緒に暮らす家族が気づいたり、たまにしか会えない家族だから気づける小さな変化をそのままにせず、いつまでも元気に過ごすためには早期受診と治療が大切です。

高齢者がうつ病を発症するきっかけ

高齢者のうつ病は、身体疾患、環境の変化、およびきっかけとなる出来事によって発病する場合があります。

  • 高血圧、脳の病気、心筋梗塞、糖尿病、慢性関節リウマチ、癌などの身体疾患の罹患
  • 仕事からの引退
  • 転居
  • 子供の独立
  • 配偶者や親しい人との死別
  • 財産の消失

きっかけとなる出来事によっては、本人も周りも、「気分が塞ぎ込んでしまうのも、当然」と思ってしまい、うつ病と気づかないこともあります。

高齢者のうつ病症状の特徴

高齢者のうつ病の症状として、特徴的な行動が認められる場合があります。
心の病気としての認識が薄く、頭が重いなど体の不調を訴えます。

体の不調 例えば・・・

  • めまい、ふらつき、頭が重い、肩こり、腰痛、便秘、不眠、倦怠感、食欲不振、脱力感、
  • 易疲労感、胃部不快感、腹部圧迫感、頻尿、口内異常感覚、悪心
  • 生きがいや物事に対する興味がなくなり、漠然とした不安を感じる。
  • 「みんなが自分の悪口を言っている」というような被害妄想にとらわれる。
  • 不安感やいらいら感が強くて、片時もじっとしていられなくなり、家の中を徘徊することがある。
    また、「ものが覚えられなくなった」、「日付や曜日が分からない」などの記憶障害があり、一見、認知症と思われますが、専門の医療機関で診断すると、うつ病が原因であったということもあります。

監修:独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 樋口輝彦