なんで成育歴を聞くの?

カウンセリングでは子供の頃のお話を、しばしば聞くことになります。


それはもちろん生育状況が、人間の性格形成にとって大きな影響因子となっているからであり、特に何らかの「つまずき」を後になって生み出す原因となっていることがあるからです。


幼児期の辛い記憶や体験がトラウマを生むことは、良く知られるようになってきましたが、家庭の様子、家族の関係などが、思いもかけない形で後々まで大きな影響を与えていくからでもあります。


人間を内側から支配しているルールや規範なども幼少期の影響を受けて価値観として形成されがちです。


さて、問題なのは子供のころには「選択権」が与えられていないというところにあります。思い通りにいかないものに蹂躙されて従わねばならない時期の苦しみ体験は、おうおうにして「心の傷」になってしまいます。


そして、この「心の傷」は大人になった後では、本人の自覚の底に沈みこんでなかなか気づかれないことが多く、症状を複雑なものにしてしまうことがあります。


カウンセリングの手法では、子供時代の自分を「自分自身で」慰めるというイメージを持っていただいて、一度外に取り出し、それを整えてから自分の中に戻すというようなことを行います。


「どうして自分だけが・・・」とか、「私を誰も助けてくれない…」とか、「周りの人を信用できない…」などという言葉が多い方には、特に子供のころの影響をお聞きしていくことになります。


社交性や人付き合いの基礎部分を「幼少期の出来事」が決定していることは少なくないからです。


こうした大人になってからの「ゆがみ」は、適応能力に強く表れます。つまり、多くの場合、損な事態を引き起こしかねない原因となってしまうのです。


そんな時には、大人になってからでもまだ間に合いますので、大人になった自分と子供時代の自分を出会わせて、心の中で対話をさせてみることがとても有効です。


自分でも落ち着いた環境を作ることができれば、対話を始めることはできますので、ぜひ生活に取り入れてみてください。