発達障害の子供がエリートに!?

発達障害の子供が、社会の中で凄い足跡を残してきたことには、枚挙がありません。育て方によって、世界のリーダーになることができるのです。

 

以下、興味深い記事が読売新聞にありましたので紹介します。

 

発達障害の子ども、優秀な会社員に…「忖度苦手だが、臆せずズバズバ指摘」に高評価も
2/12(月) 7:13配信 読売新聞社


 
 発達障害について、精神科医で信州大付属病院子どものこころ診療部長の本田秀夫さんに聞きます。(聞き手・松本航介)

 

 発達障害の人は、思春期以降にうつや不安などの二次障害が生じることが多いと言われています。でも、全員がそうなるわけではありません。

 

 Cさんは、3歳から私たちが診てきた男性です。3歳の頃は典型的な発達障害の特徴がありました。共感性に乏しく、一人遊びばかりして他の子に興味を向けない。そこで、幼児期から専門家の支援を受けて育ちました。

 

 今、20代後半です。高校を出て電機メーカーに就職しました。障害者としての就労ではなく、普通の就職です。会社では、問題だと思ったことは上司でも臆せずにズバズバと指摘します。いわゆる「忖度(そんたく)」は、得意ではありません。

 

 こういうタイプは会社では嫌がられることがあります。ところが、この会社は、「変に忖度するより前向きな提言をする社員の方がいい」と評価してくれ、入社5年目で同期で最初にチーフになりました。

 

 社内のコンピューター端末の操作マニュアルを一人で作るなど、仕事はとても優秀です。対人関係は今も得意ではありませんが、チーフとして後輩を食事に連れて行くこともあります。自分が企画して、自分の計画通りに連れて行くので大丈夫なのです。

 

 趣味はアイドルのイベントに出かけることやテレビゲーム。少しオタクですが、社会人として支障はありません。

 

 Cさんは幼児期から支援を受けて、二次障害を防ぐことができました。もし、育ち方が違っていれば、自己肯定感が下がったり、うつになったりしていたかもしれません。

 

 発達障害は早期発見、早期支援が大切です。それによって、つらい二次障害を予防することが十分に可能です。

 

症状目立たず、二次障害も防げたのに…「障害」と呼ぶべきか
 発達障害の人のうち、症状が目立たず、うつや不安などの二次障害も防ぐことのできた人のことを、何と呼べばいいでしょう。この人たちは、発達障害の特性はありますが、「障害」と呼ぶ必要はありません。

 

 例えば、自閉スペクトラム症の場合。最後の「症」の字を取ってしまう。私は「自閉スペクトラム」と呼ぶことにしています。障害がないということを強調するために、「非障害自閉スペクトラム」と呼ぶこともあります。

 

 自閉スペクトラムの人たちのうち、症状が極端に目立つ人は「自閉スペクトラム症」と診断し、医療、特別支援教育、福祉などの支援をしていく必要があります。元々の症状は強くないけれど、二次障害が出てきたために結果として深刻な障害が生じている人もいます。こういう人も「自閉スペクトラム症」として支援の対象になります。

 

 また、発達障害では、いくつかの症状が重なり合うことがよくあります。

 例えば、対人関係の問題である「自閉スペクトラム症」と診断されている人の一部は、注意力や集中力の問題である「ADHD(注意欠如・多動症)」とも診断されています。学習の問題である「限局性学習症(学習障害)」と重なることもあります。診断する側は、一つの診断をつけて安心するのではなく、1人の子を様々な側面から診ていく必要があります。

 

どんな大人になるのかは…「育て方」が関係
 発達障害の子どもの支援を考える上で、「育て方」はとても大切です。発達障害そのものはおそらく何らかの脳の異常によって起きますが、発達障害として生まれてきた後、どんな大人に育つかということには、育て方が関係するのです。

 

 私は、育て方を四つのタイプに分けて考えています。一つ目は、その子の発達障害の特性をきちんと理解し、特性に応じて必要なことを身につけさせるという育て方です。特性に合わないことは、無理に教え込もうとはしません。

 

 発達障害の子は、興味の対象が偏りやすいという特性があります。そのため、目標を定める時は、本人が興味を持って取り組めるような目標と方法を考える必要があります。

 

 その際、少しの努力ですぐに達成できるような目標を作ることが大切です。ほかの子には簡単にできることでも発達障害の子にはうまくできないことがあります。「できるはずだ」と思ってほかの子と同じ目標を掲げ続けると、その子はつらくなってしまいます。

 

 コミュニケーションが苦手な子は小さい時はできるだけ叱らずに褒めてください。叱られると人に相談する意欲が下がってしまいます。なるべく気軽に人に相談し、協力してもらいながら何かを進めていくということを習慣づけることが大切です。

 

 こういう育て方を幼い頃から行っていくと、うつなどの二次障害を防げるのです。

 

本田秀夫(ほんだ・ひでお)
 1964年、大阪府豊中市生まれ。精神科医。信州大医学部付属病院子どものこころ診療部部長・診療教授。日本自閉症協会理事。著書に「自閉症スペクトラム」など