女性の悩み
嘆きと悲しみ

女性の悩みは、その時に大きく占めているアイデンティティ、つまり「自分が何者であるか」という役割によって異なります。


女性には、いろんな呼び方が適用されます。

「女の子」「女子」「女性」「嫁」「妻」「奥さん(奥様)」「かみさん」「お母さん」「おばちゃん」「おばあちゃん」など。


こうした呼び方の違いは、その時々の女性の役割を表しています。

 

大きく分けると「娘として」「女として」「妻として」「母として」のアイデンティティの4つに分けられます。

 

女性の人生は以下のように左から右へと役割が変わっていく流れをたどるのです。

役割を獲得していく往路、喪失していく復路にそれぞれの悩みが生じるのです。

カウンセリングをしていると、女性の悩みは、役割に結び付いている場合が多くみられます。

 

女性はその時のアイデンティティの違いで悩みも変わってくるというわけです。

 

問題となるのは、複数のアイデンティティが重なっている場合や時期にそぐわないアイデンティティを持たないといけない場合、一つのアイデンティティに縛られてしまう場合などです。

例えば、すでに成人しているのに親が過保護に子ども扱いし続けたり、子育ての時期に、夫が「子どものことばかりではなく、自分もかまって欲しい」と甘えてくる場合などは、自身のアイデンティティの移行の邪魔をされているように感じて悩まれたりします。

 

「私はあなたの母親じゃない!」と夫に言いたくなったことは、誰にでもあるのではないでしょうか。

 

また、年齢的には娘というアイデンティティが形成される時期なのに、早期に母が亡くなってしまったり両親が離婚してしまって、10代の内に母という役割をこなさなくてはならない場合は、娘として親に甘えるという経験が少なすぎて我慢ばかりしてしまう人に成長してしまうかもしれません。

 

その他、夫の親の介護をしなくてはいけないのに夫が浮気をしている、その上、子どもが家出してしまったなどと問題が重ねて起きて、一体どうしたらよいのか訳が分からなくなってしまったという人もいます。

アイデンティティが混乱している方の話は、「主語がわかりにくい」という特徴があります。

 

母という立場からなのか、妻という立場からなのか、女としてか、娘としてか、それとも人としてなのか、それらが混ざり、話が非常にわかりづらい。

 

当の本人も混乱から、解決の糸口を見つけるのは大変なことでしょう。


大事なのは、いくつもの役割に押しつぶされそうなんだなということを共感的に理解することと、重なっている役割を解きほぐしていくということです。


カウンセリングでは、自分がどのアイデンティティの段階にいると思っていたのか、実際にはどのアイデンティティの段階にいるのか、それが一致していたのかズレていたのか等といったことを対話を通して考えていきます。

 

そうすることで、「あぁ、自分はこのアイデンティティを大切にしていたんだな」とか「本当はこうなりたいんだな」と気づくことができたりします。

 

そして、自分の中の優先順位に従って、抱えている問題に順番に取り組んでいけるようになります。

 

その過程では何かを諦めたり犠牲にしたりしなくてはならないことも多いのですが、結局「取捨選択ができるようになる」ことで「どうしたらいいかわからない」とおっしゃることがなくなって、行動できるようになり、カウンセリングのクロージングとなるのです。

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